その瞳に映るのは



 HR後。


渡辺くんがすぐに立って私の机を回り込んで右側に来た。

そして私の机に軽く座った。



「王子。」

「何?」


あ。隣りの王子くんと話があったのか。



「お前の席、そこじゃなかったよな?」

「あぁ、今日からここにした。」

「なんで?」

「この席のが面白そうだから。」

「へー。」


そんな会話が聞こえた直後。

渡辺くんが振り向いて私を見て言った。


「三島さん、俺と席替えて。」

「……え?渡辺くんと?」


いきなりどうしたのか気になった。


「紗夏、そうしなよ。私の真後ろよりそっちの席のが前と同じで話しやすいよ。」


美優ちゃんがすぐに賛同した。

確かに、美優ちゃんが後ろを振り返るより話しやすいかも。


「うん。いいよ。」

「じゃあ机動かすからちょっと避けてくれる?」


そう言った渡辺くんはすぐに私の机を動かして席を替えてくれた。

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