その瞳に映るのは


「でも私は個人的に王子のことあんまり好きじゃないから紗夏の近くにいてほしくなくてああ言ったの。」



渡辺くん以外の人を悪く言わない美優ちゃんがそんな事言うなんて意外だった。



「ありがとう美優ちゃん。私、美優ちゃんに言われるまで王子くんが四天王だってこと忘れてたよ。」

「ぷっ。それ渡辺が聞いたら喜ぶよ。」

「そうなの?って事は、渡辺くんも王子くんが苦手なのかな?
私、美優ちゃんに渡辺くんと成瀬くんが四天王だって聞いただけで、あと残りの王子くんとバレー部の人のことは顔も知らなかったから……。私、かなり世間知らずだよね。」

「……紗夏は世間なんて知らなくていいよ。そのままでいてね。」


体育館の床の上で膝を抱えた体育座りの私を抱きしめがら美優ちゃんは肯定してくれた。

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