あたしを撫でる、君の手が好き。
「シロ。喉渇いたから、購買で飲み物買ってきて」
「え……あたし、今日はお弁当だから購買に行く予定ないんだけど」
突然ドキドキさせてきたかと思ったら、これだ。
あっくんはこうやって、いつもあたしのことをいいように利用してくる。
しかも、あたしの気持ちなんて知らずにやっているんだからタチが悪い。
だけど、あたしだっていつも利用されてばっかりじゃないんだ。
500円玉を握りしめて突き返そうとしたら、あっくんがふわりとあたしの頭の上に手をのせた。
「俺、カフェオレがいいなー。シロちゃんも、おつりでミルク買ってもいいよ」
ぐりぐりとあたしの頭を雑に撫でながら、あっくんがにこにこ笑う。
あたしはあっくんのほとんど全部が好きだけど、こんなふうに頭を撫でられるのが一番好きだ。
そうされると、心地よくて、胸がドキドキして、あっくんの言葉に逆らえなくなってしまう。
渡された500円玉を突き返そうと思っていたのに、それを握りしめたあたしの右手は脱力してしまった。