あたしを撫でる、君の手が好き。
◇
「やっぱり、岸と何かあったでしょ?」
学校の最寄駅にあるハンバーガーショップで、ぼんやりとストローでコーラを啜っていると、向かいあって座る桃佳にドリンクのカップを奪われた。
「それ、もうないんでしょ?ズルズルうるさいよ」
桃佳があたしが飲んでいたコーラのカップを軽く振る。そこから聞こえてくるのは、カサカサと氷が揺れる音だけだった。
もうなかったのか。どおりで、あんまり味がしないなーと思ったんだ。
注文したセットのコーラは既に空っぽなのに、あたしの目の前のトレーには、未開封のハンバーガーとドッサリ残ったフライドポテト。
何も食べずにジュースだけを無意識に飲み干すなんて。どれだけぼんやりしてたんだろう……
自分のことながら呆れていると、既にほとんど食べ終わっている桃佳が、あたしのハンバーガーの紙を剥いて渡してくれた。