あたしを撫でる、君の手が好き。

「ん。何があったかは知らないけど、るみが話せそうなら聞いてあげる」

「モモちゃん……」

あたしはハンバーガーを半分ほど食べると、体育祭のときのことを軽く話した。


「モモちゃんが言ってたとおりだよ。二の足踏んでたから、横から攫われちゃった。まぁ、元から恋愛対象としては見てもらえてなかったから、攫われたも何もないんだけど……」

しょんぼりしながら、ハンバーガーの残り半分をチビチビと囓る。


「そんなことはないでしょ。どう見たって、岸に一番近い女子は、るみだったじゃん」

「女子なんかじゃないよ。あっくんにとってのあたしは、都合のいいときに使えるペットみたいなもんなんだもん。本当に一番近い女子は、徳永さん」

自分で言っておいて虚しくなる。

深いため息を吐くあたしを、桃佳が同情の混ざった目で気遣わしげに見てきた。

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