あたしを撫でる、君の手が好き。
「ミルクじゃなくて、いちごミルクがいい」
ぼそりと言うと、あっくんが笑う。
「いいよ、いちごミルクでも」
目を細めてあたしを見下ろすあっくんの表情にドキッとする。
幼稚園の頃からあっくんを見てきたけど。あっくんは高校生になってから急に大人っぽくなった。
行動とか話す内容は、中学までとちっとも変わらないのに、ときどき見せる表情がこれまで以上にあたしをドキドキさせる。
「あたし、購買行ってくる!」
500円玉を握る手に、必要以上に力が入る。
あたしはまだ頭にのっかったままのあっくんの手を振り払うと、焦って彼に背を向けた。
「あれ、るみ。どこ行くの?」
そのまま教室を走って飛び出そうとしていると、お弁当箱を持ってあたしのほうに歩み寄ろうとしていた桃佳に呼び止められた。