あたしを撫でる、君の手が好き。




「るみー、そろそろごはん」

ベッドでうとうとしていると、お母さんの呼ぶ声が聞こえてきた。

いつの間にか日が暮れていて、部屋が薄暗くなっている。


「はーい、すぐ行くー」

目を擦りながら起き上がったあたしは、まだ制服を着たままだった。

引き出しから適当に選んだパーカーとショートパンツに着替えて部屋を出ようとすると、インターホンが鳴った。


「あら?こんな時間に何かしら。勧誘?」

お母さんがぶつぶつ零しながら、スリッパの音をパタパタと鳴らす。

お母さん、勧誘の人断るの苦手だからなー。長くなるかも。

お母さんが玄関を開ける音を聴きながら、苦笑いする。だけど。


「あら、亜聡くん。ひさしぶり。こんな時間にどうしたの?るみに用事?」

「あー、ちょっと。忘れ物届けたくて」

玄関から聞こえてきた声に、呑気に階段を降りて行こうとしていたあたしの足が止まった。


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