あたしを撫でる、君の手が好き。

「俺のメッセージ無視したのは、シロの第一優先が富谷になったからってこと?無理やり帰らせて、富谷と遊べなかったから怒ってんの?」

「お、怒ってるのはあっくんでしょ?」

2週間前の体育祭のときから今この瞬間まで、怒ってるのはずっとあっくんのほうだ。

怖い顔をしたあっくんと目を合わせていられなくて顔を逸らす。

あっくんはそんなあたしの顎をつかむと、やや強引に正面を向かせた。


「俺は、怒ってはないけどムカついてんの。ちょっと優しくされたのかなんなのか知らないけど、この頃シロが他のやつに懐いてるから」

「何言ってるの?またそうやって人のことイヌみたいに────……」

他のやつに懐くって、富谷くんに?

戸惑い気味に反論しようとしたら、あっくんがいきなりあたしの首筋に軽く噛み付いてきた。

驚いてビクッと震えたあたしの肩に、あっくんがぽすっと頭を預けてくる。

肩にかかる重みと、鼻先をくすぐるあっくんの髪の匂い。それが、あたしの胸をドキドキさせた。



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