あたしを撫でる、君の手が好き。

「そうだ。これやろうと思って、シロのこと駅前に呼んだんだよ」

あっくんが、あたしの頭の後ろに回していた腕を解いて、その手をカバンの中にガサゴソと突っ込む。


「これ。カラオケのあとに寄ったゲーセンでいっぱい取れたから、やる」

あっくんがカバンから取り出したのは、筒状の容器に入ったマーブルチョコレートだった。

お店で売っているものよりも大きなサイズのチョコレートの容器を5つも渡されて、さっきまでの妙な甘さを含んだ空気が一気に吹っ飛ぶ。


「こんなにいいの?あっくんの分は?」

「まだある」

あっくんが見せてくれたカバンのなかには、チョコレートの容器がまだ5つ以上入っていた。


「すごいね」

あっくんが大量のマーブルチョコレートをガチャガチャ鳴らしながらうちまで来てくれたのかと思うと、なんだか笑えてくる。


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