あたしを撫でる、君の手が好き。

「あと、ついでにこれな」

あっくんが続けてカバンのサイドポケットから引っ張り出してきたのは、クマのキャラクターのキーホルダーだった。


「たまたま一発で取れたんだけど、俺はいらないから、シロにやる」

ぱっとあたしの右手をつかんだあっくんが、キーホルダーの輪っかの部分を薬指に引っ掛ける。

あっくんがどうしてその指を選んだのか。その理由を考えたら、期待に胸が膨らんだ。


「これ、あたしがもらっていいの？」

徳永さんじゃなくて……？

その言葉を飲み込んだあたしに、あっくんが首を傾げてクスッと笑いかけてきた。


「いいよ。こんなんじゃ、繋ぎ止める鎖にもなんないけど」

あっくんの手がすっと伸びてきて、あたしの頭にぽんっとのる。

ぐしゃぐしゃと、雑に頭を撫で回すあっくんに、あたしの心もすっかり掻き乱されてしまっていた。