あたしを撫でる、君の手が好き。
じりじり、火照る。
ホームルームが終わったあとも席に座ってカバンについたクマのキャラクターのキーホルダーを弄っていると、そばに寄ってきた桃佳があたしの手元をジッと見てきた。
「それ、朝からずーっと触ってない?」
「そうかな」
キーホルダーの輪っかの部分を触っていたあたしの脳裏に、それを右手の薬指に通してくれた昨日のあっくんの顔が蘇る。
あのあと、あっくんは何事もなかったみたいにお母さんに挨拶して帰って行ったけど……あのときのあたしとあっくんは、いい雰囲気だったと思う。
『ペットみたいなもの』から、幼なじみの女の子という関係をすっ飛ばして、もっと近くにいけるんじゃないかと思うくらい。あっくんの仕草や言葉、全部に期待した。
「よくわかんないけど、いいことがあったんだね。るみ、元気になったみたいでよかった」
ニヤニヤとする桃佳につられて、あたしの頬も緩みそうになる。