あたしを撫でる、君の手が好き。
「富谷、なんて?そんなに顔赤くして喜ぶようなことが書いてあった?」
あっくんの声のトーンが下がったような気がして、ドキリとする。
「違うよ。放課後のこと、心配してくれてたみたい……電話までかけてくれるなんて、かけなおしたほうがいいかな?」
「いいよ、そんなの。俺から連絡しとくし」
奪われたスマホを取り戻そうとしたら、あっくんがさっとあたしからスマホを遠ざけた。
「富谷に言いたいことあったら、俺が伝えるし。シロはあいつと個人的に連絡取り合わなくたっていいよ」
あっくんがそう言って、あたしから見えないように勝手にスマホを操作する。
あたしの代わりに富谷くんにメッセージを打っているっぽい。
「あ、勝手に変なメッセージ送っちゃダメだよ?」
気になって制服の袖を引っ張ると、操作を終えたあっくんがスマホを返してくれた。