あたしを撫でる、君の手が好き。

「あっくん、富谷くんに何送ったの?」

「気になる?」

「そりゃ気になるよ。変なこと送られてたら恥ずかしい」

「どうでもいいじゃん、そんなの」

あっくんが送った内容を確かめるためにメッセージアプリを開こうとしたら、その手をグッとつかまれた。


「これ、さっき返し忘れた」

ポケットに手を突っ込んだあっくんが、化学準備室で突き返したままになっていた、クマのキャラクターのキーホルダーを取り出す。

それをあたしの目の前でゆらりと揺らすと、キーホルダーの輪っかの部分を昨日と同じようにあたしの右手の薬指にそっと通した。


「あっくん……?」

「もう、名前では呼んでくれないの?」

あたしの薬指に通したキーホルダーの輪っかを指で擦りながら、あっくんが優しく目を細める。


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