あたしを撫でる、君の手が好き。
どきどき、高鳴る。

授業の合間の10分休憩に入ったとき、富谷くんが後ろの席からあたしの背中をちょんっと突っついてきた。


「ねぇ、シロちゃん。昨日────……」
「富谷ー、次、体育で移動」

振り向いたあたしに富谷くんが何か言いかけたとき、横に一列離れた席にいるあっくんが早足で近付いてきた。

話を遮られた富谷くんが、体育着を持って近寄ってきたあっくんのことをうんざりした顔で振り返る。

それもそのはず、と言えばいいのか。

今朝からずっと、富谷くんが休み時間のたびにあたしに何か話そうとしてくれているのに。彼が本題を切り出す前に、毎回あっくんの邪魔が入るのだ。


「亜聡、わざとだろ」

「なにが?」

しれっとした顔で訊ね返すあっくんに、富谷くんが机の横にかけていた体育着袋をドカッと投げつける。


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