あたしを撫でる、君の手が好き。



放課後。茶道部の活動が終わって、帰る用意をしていると、お弁当箱を入れている小さなトートバッグがカバンに入っていないことに気が付いた。

昼休みに教室で桃佳とお昼を食べたあと、机の横にかけてそのままにしてきたかもしれない。

家にお弁当箱はもう一つあるけど、忘れて帰るとお母さんに嫌がられる。


「モモちゃん。あたし、教室に忘れ物してきちゃった」

「何忘れたの?」

「お弁当箱。とってくるから、先に先輩やみんなと帰っといて」

「昇降口で待っとくよ?」

「大丈夫。走ってすぐに追いつくから」

「そう?じゃぁ、ゆっくり進んどくね」

「ありがとう」

あたしは桃佳や先輩達に手を振ると、茶道部の茶室を出て教室に向かった。

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