あたしを撫でる、君の手が好き。

「家に帰る前にどっか寄る?」

あたしの手を引いて歩き出したあっくんが振り向く。

付き合うことになってから、週3日の茶道部がある日は必ず、あっくんと地元の駅で待ち合わせて一緒に帰るようになった。

週3日のうち、1〜2回は、地元の駅前にあるハンバーガーショップとかコーヒーショップにふたりで立ち寄る。

あたしは茶道部でお茶菓子が出るから、控えめに飲み物だけで済ますのだけど。

夕飯前なのに、普通にハンバーガーとか食べちゃうあっくんは、部活後にお腹が空くらしい。


「あたしはどっちでもいいよ。今日のお茶菓子が美味しくて、食べ過ぎちゃったんだよね。あっくん、お腹空いてる?」

にこっと笑いかけると、あっくんがあたしを無言でジッと見下ろしてくる。

笑顔のまま首を傾げると、少し不満げに眉を寄せたあっくんに片側の頬をぎゅっとつままれた。

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