あたしを撫でる、君の手が好き。

「何?痛い……」

「何、じゃねーよ。お前、毎回毎回、全然空気読まねーよな。俺は別に、お前みたいに食い意地張ってるわけじゃないし」

「何言ってるの?あっくん、寄り道したらだいたいガッツリ食べてるくせに」

むっとして、つままれた頬を撫でると、あっくんが呆れ顔で息を吐いた。


「ガッツリじゃない。それに、食うの目的で寄り道してるわけじゃないよ。そう思ってんのは、るみだけ」

「じゃあ、何が目的なの?」

怪訝な声で訊ねると、あっくんが「なんでわかんないの?」と呆れ顔でつぶやいた。


「そんなの、ちょっとでも長く一緒にいたいからに決まってるじゃん」

「あ……」

少し不機嫌な声であっくんから知らされた事実に、言葉が詰まる。

あっくんと寄り道するのはいつも楽しかったし、嬉しかったけど。

あっくんがそんな意図で誘ってくれていたとは知らなかった。

もしそうだとしたら、これまで寄り道だと思っていたことの意味合いが、全然違ってくる。

あれはつまり、デートだったんじゃ……

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