あたしを撫でる、君の手が好き。
「だってシロはすげー可愛い俺の、────……」
「ペットみたいなもん?」
伏せた腕の隙間から顔を覗かせた彼女が、少し不貞腐れたように俺に訊ねた。
「そうそう、ばーちゃんちの犬みたい」
「あっくん、ほんとにいつもそれ」
不満げに見上げる彼女の表情が可愛くて。ついそのまま掻き抱いてしまいそうで。
ぐしゃぐしゃっと彼女の髪をめちゃくちゃに掻き乱すことで、胸に湧き上がってくる邪な欲望を散らす。
「ぐちゃぐちゃなんだけど」
文句は言うくせに、彼女は頭を撫でる俺の手を嫌がらない。
だから、彼女のふわふわ揺れる髪に触れるたびに期待してしまう。
いつか俺だけを見ないかな、って。
ほんとうは彼女に触れるたび、募らせた想いが手のひらから全部が溢れ出しそうでギリギリだ。
机に伏せた彼女の、柔らかな髪を撫でながら思う。
この気持ち、いつまで隠しとおせんのかな……