あたしを撫でる、君の手が好き。
「ど、どうする?あっくん」
あたしが吃りながら訊ねると、あっくんがちょっと困った顔をする。
あたしを見て数秒迷った様子を見せたあと、あっくんはお母さんに小さく首を横に振った。
「いえ。せっかく誘ってもらったんですが、今日は急なので帰ります。また今度、ご一緒させてください」
爽やかな笑顔を浮かべたあっくんに、お母さんが一瞬だけ見惚れていたような気がする。
「そう?じゃぁ、また昔みたいにいつでも遊びに来てね。うちはまだ時間あるから、ゆっくりしていって」
ジトっ見つめるあたしの視線をよそに、お母さんは機嫌良さそうな顔であたしの部屋から出て行った。
お母さんの足音が完全に遠ざかるのを確認してから、あっくんがあたしの頭に手を置いておもむろに立ち上がる。
「そろそろ帰るな。るみん家、夕飯みたいだし」
「え、うん……」