あたしを撫でる、君の手が好き。
いちおう付き合って初めての、るみの誕生日だから、「るみの好きなものをあげる」と約束してる。とは言っても、俺の所持金内で。
最初は、何かアクセサリーでもこっそり買って渡そうと思ってたけど、店に見に行ったら種類がありすぎて、なかなかひとつに絞れなかったのだ。
だから、一緒に見に行って、るみ本人に選んでもらおうと思ったんだけど。
るみは、「あっくんからもらえるなら、何でもいい」なんて言うし。
俺の好みで選んだプレゼントでも、喜んでくれたのかもしれない。
そんなことを考えながら、学校を出て歩いていると、駅に着く直前で、るみのスマホが鳴り出した。
「あ、富谷くんだ」
スカートのポケットからスマホを取り出したるみが、メッセージを確認しながらつぶやいた名前に「は?」となる。
「なんで、富谷から?」
あいつのことは、俺が前にブロックしたはずなのに。
るみの横からスマホを覗き込んだら、確かに富谷から『シロちゃん、お誕生日おめでとう!』という、やけに浮かれたメッセージが届いていた。
というか。どうして富谷は、るみの誕生日を知ってるんだ。