あたしを撫でる、君の手が好き。
富谷の下心にも気付かずに、るみが律儀にメッセージを返しているのを見て、少し苛立つ。
でも、祝われた礼を言うっていう点では、るみが正しいし、るみに非はない。
だから黙って我慢したけど、富谷がるみの誕生日を知っている、という事実にはやっぱりムカついた。
るみが富谷にメッセージを確認してから、その手を強く引っ張る。
「誕生日プレゼント、やっぱり首輪にしようかな」
「え、何?」
低い声でぼそっとつぶやくと、るみが俺を見上げて顔を寄せてきた。
「何でもない」
栗色の髪の毛に手を差し入れて、くしゃりと撫でると、るみがくすぐったそうに目を細める。
俺を見上げてくる、るみの瞳。それが、よそ見したりしないように、ふわふわの髪に触れた手で、彼女の頭を抱き寄せた。
【Fin】