あたしを撫でる、君の手が好き。

高校に入学してすぐの部活勧誘で、「週三だけの活動で、お茶と一緒に美味しいお菓子が食べられるよ」という茶道部の先輩の言葉にものすごーく惹かれて入部したのは事実だ。


「お菓子だけじゃなくて、たまに着物着せてもらえたりするところもいいんだよ!」

胸の前でぐっと拳を握って主張したら、あっくんがククッと笑った。

沈みかけの太陽のオレンジ色の光に照らされたあっくんが、眩しげに目を細める。

その表情に、あたしの胸がドクンと鳴った。

この頃、ふとしたあっくんの表情が、昔よりも大人っぽく見えたり、ちょっと色っぽく見えたりする。

あっくんは無自覚なんだろうけど、そのたびにあたしはドキドキしてしまって、あっくんの顔を直視できなくなってしまう。

さりげなくあっくんから視線を逸らすと、横から伸びてきた手がむぎゅっとあたしの頬をつまんだ。


< 27 / 227 >

この作品をシェア

pagetop