あたしを撫でる、君の手が好き。
きらきら、眩しい。


体育の授業後に更衣室から出てきたら、まず一番にあっくんの姿が目に止まった。

校庭の端にある水道のひとつを全開にして、体育着のまま他の男子数人とふざけて水をかけあっている。


「やば。頭からびちょびちょなんだけど」

大声で叫びながら、あっくんが濡れた頭を左右に思いきりブンっと振る。

中学生の頃よりもワントーン明るくなった茶色の髪から散った飛沫が、太陽の光に照らされてキラキラとする。

だけどそれよりも、あっくんが見せている、心の底からの全開の笑顔のほうがあたしにはずっと眩しい。

あっくん以外の周囲は全部、顔にモヤのかかったモブだ。

いつもいつも、あっくんだけが特別眩しい。


「るーみー。また、(きし)のこと見つめてる」

体操着の袋を抱えてぼんやりしていると、あとから更衣室を出てきた桃佳(ももか)に、人差し指で頬をぷにっとつつかれた。


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