あたしを撫でる、君の手が好き。

もうすぐ、高校生になって初めての体育祭がある。

2週間ほど前に、クラス内で体育祭の実行委員を決める話し合いがあって、あっくんと桃佳がくじ引きでそれにあたった。

委員会の活動は体育祭まで週に1〜2回ほど定期的にあるみたいで、放課後あっくんと過ごせる桃佳が少し羨ましい。

それに、あっくんとあんなふうにふたりで並んで立てるのもいいな。

黒板の前に並んで立つあっくんと桃佳のことを羨望の目で眺める。


「────ちゃん」

あっくんの隣に立つ自分の姿を想像してぼんやりしていると、後ろからトントンと肩を叩かれた。


「シロちゃん」

後ろから富谷くんの呼ぶ声がする。


「あ、やっと気付いてくれた」

振り向くと、富谷くんが少し前に身を乗り出すようにしながらあたしの肩に手をのせていた。

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