あたしを撫でる、君の手が好き。

「ごめん。もしかして何度か呼んでくれてた?」

「うん、わりと。シロちゃん、寝てた?」

そういえば、ぼんやりとした意識の向こうで誰かが呼ぶ声が聞こえていた気がする。

でも、あっくんを見つめててぼーっとしていたとは流石に言えない。

苦笑いで誤魔化したら、富谷くんがにこっと笑い返してくれた。


「体育祭の係、シロちゃんは何にする?」

「係……」

周囲を見回すと、他のクラスメートたちはそれぞれ、仲の良い友達同士でどの係をするのか相談をし始めている。


「あたしはクラス横断幕の制作とかでいいかなー」

クラスでも目立つ子たちは、応援団をやったりするんだろうけど。あたしは裏方でいい。美術はわりと好きだし。



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