あたしを撫でる、君の手が好き。

「富谷くんは?」

富谷くんが応援団に入ると、クラスメートの士気があがって体育祭も盛り上がるんだろうな。

そう思って訊ねたのに、富谷くんからは意外な答えが返ってきた。


「俺も横断幕にしよっかなー」

「え、なんで?富谷くんは応援団とかやったほうがいいよ!」

「なんで?」

「だって、富谷くんは裏方じゃなくて表舞台に立つタイプだもん」

「何それ?」

あたしは真面目に言っているのに、富谷くんがケラケラと笑う。


「だったら、シロちゃんも一緒に応援団やろうよ」

「え、あたしはいいよ。そういうのは、もっと可愛くて目立つ子がやったほうがいいもん」

たとえば、この前廊下から富谷くんに声をかけてきた、徳永さんみたいな。


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