あたしを撫でる、君の手が好き。
「大丈夫だって。シロちゃん、ふつーに可愛いし」
あたしが顔の前でブンブンと手を振っていると、富谷くんが机に頬杖をつきながら笑顔でそう返してきた。
富谷くんがさらっとそんなことを口にしてくるから、あたしの手の動きがピタリと止まる。
「い、いやいや。それに、応援団ってダンスとかもするんでしょ?あたし、運動とかイマイチでダンスとかもみんなからワンテンポずれちゃうし……」
「そんなの誰も気にしないって。ダンスなんて、本人が楽しく踊れてれば大丈夫だから」
「でも────……」
「俺、シロちゃんの分も名前書いてくるね」
「あ、ちょっと富谷くんっ……」
富谷くんはばっと椅子から立ち上がると、あたしの反論を無視して黒板のほうへと歩いて行ってしまった。
白いチョークでふたり分の名前を書く富谷くんに、あっくんが何か話しかけている。
黒板に名前を書いたあと軽やかな足取りで席に戻ってくる富谷くんの背中を、あっくんはどこか不満げな顔で見ていた。