あたしを撫でる、君の手が好き。

「また明日ね、シロちゃん」

あっくんと徳永さんのことをじーっと見ていると、富谷くんに横から声をかけられた。

息も瞬きもせずにふたりのことを凝視していたあたしは、ここが教室であることをすっかり忘れかけていた。


「あ、うん。バイバイ」

肩をビクつかせて、挙動不審に手を振ったら、富谷くんに笑われた。


「バイバイ」

楽しげに手を振り返した富谷くんは、早足であたしの横を通り過ぎると、あっくんと徳永さんのところに歩み寄っていく。

富谷くんが後ろからのしかかるようにあっくんの肩に腕を回して何か話しかけると、少し鬱陶しそうに振り向いたあっくんの視線が徳永さんから逸れた。

富谷くんが加わったことで、あっくんと徳永さんがふたりきりではなくなる。

そのことにほっとしたものの、あっくんと徳永さんの関係が気になってモヤモヤした。

 
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