あたしを撫でる、君の手が好き。

あっくんと富谷くんと徳永さんはしばらく3人で話していたけれど、部活が始まるのか、富谷くんと徳永さんはふたりで連れ立って行ってしまった。

あたしの立っている場所からは、3人がどんな会話をしているのかまではわからなかったけど。

去り際に、満面の笑みを浮かべた徳永さんが「岸くん、またね」と言っている声だけは、はっきりと聞こえてきた。

「またね」って、どういうことだろう。

あくまでもあたしの個人的な感覚だけど、ある程度親しいか、また会う予定がある相手と別れるときにしか「またね」なんて言わないと思う。

あっくんと徳永さんは、それくらい親しい友達ってことなのかな。それとももっと……

止まっていた手を動かして、鞄の中に教科書やノートを放り込む。

そうしながらも、頭の中ではあっくんと徳永さんの関係について悶々と考えてしまっていた。

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