あたしを撫でる、君の手が好き。
「あっくん、あたしやっぱり────……」
「最近お前、富谷から『シロ』って呼ばれてるよな」
係のことを相談しようとしたら、あっくんが急にあたしの言葉を遮る。
だからなんとなく、係を替えてほしいと言いにくい雰囲気になってしまった。
「そうだね。この前、あだ名で呼んでいいかって聞かれて……」
「いいって言ったの?」
「いいって言ったわけではないけど……」
はっきりと許可したつもりもない。
だけど、富谷くんが自然な流れであたしのことを『シロちゃん』と呼び始めてしまった。
あやふやな返事をするあたしを、あっくんが睨むようにじっと見てくる。
「富谷がシロのことを応援団に誘ったのは、一緒に練習したいからだろ。あいつ、言ってたよ。シロのこと、『かわいー』って」
「そ、そーなんだ」
あっくんが口にした「かわいー」という言葉に反応してしまったのか、富谷くんがそう言っていた事実を知ったからなのか。
あたしの心臓がドクン、と大きく脈打った。