あたしを撫でる、君の手が好き。

うちの高校の体育祭には、午前と午後の競技の間に『応援合戦』の時間があって。そこでチームごとに創作ダンスを披露する。

ダンスのオリジナリティとか、クオリティーとか、演技と衣装の統合性とか、全体の動きが揃っているかとか。そういうものが総合されて得点がつき、それがチームの競技得点に加算される。

この応援合戦が、うちの高校の体育祭の目玉でもあるらしく。チームを取りまとめる3年生にとっては、高校生活の思い出にもなる一大イベントとなる。

だから、どのチームの3年生も本番までにできるだけベストの状態に持っていこうと必死なのだ。


「やっぱりあたし、今からでも横断幕係に代わろうかな……」

富谷くんに誘われて適当な気持ちで入ったあたしには、応援合戦に対する熱い気持ちもないし。

得意でないダンスでいつもワンテンポ遅れるたびに、3年生に無言でじろりと睨まれてしまって本当に怖い。

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