あたしを撫でる、君の手が好き。

それに終始一人で踊るわけではなくて、中盤からペアになって踊る部分があるのだ。

ペアの相手がたまたま富谷くんだからいいものの、あたしの動きの悪さで富谷くんに迷惑をかけているのは明らかで。それが本当に申し訳ない。


ようやく教室まで辿りついて、よろよろとドアを抜けようとしていると、走って外へ飛び出そうとしていたクラスメートがあたしの肩に思いきりぶつかってきた。

あたしがぼーっとしすぎていたのもあるし、相手が男子だったのもあって、ドアの外に軽く突き飛ばされてしまう。

そんなあたしを、すぐ真後ろにいた富谷くんの胸が抱きとめた。


「わ、大丈夫?シロちゃん」
「あ、悪い」

ぶつかってきた男子の声と、富谷くんの声が同時にあたしの耳に届く。


「あ、うん。平気。ごめん、前見てなくて」

不注意でぶつかってしまったのも恥ずかしいし、富谷くんに受け止められてしまったことも恥ずかしい。

完全なる事故だけど、男の子に触れ慣れない背中がひどく熱くてドギマギとした。


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