あたしを撫でる、君の手が好き。
ずきずき、痛む。
「ねぇ、うちのクラスの女子の体育祭委員はモモちゃんだよね?」
「そうだねー」
あたしの問いかけに、桃佳が間延びした声で答える。
校庭では、次のプログラムである、借り物競走の準備が着々と進められている。
チームの応援席に桃佳と並んですわっているあたしは、校庭で忙しそうに備品を運んでいるあっくんと、終始その隣を引っ付いて歩いている徳永さんのふたりのことを、一瞬たりとも目を逸らすことなく注視していた。
「だったら、どうしてあっくんは朝からずぅーっと、徳永さんとペアで委員の仕事をしてるの?」
「うーん、どうしてだろうね……体育祭当日の役割分担は組ごとではなくて、個人で選択できたから」
「へぇー」
「同じ体育祭委員ではあるけど、あたしは別に岸とはそんなに仲良くないでしょ?委員会で役割を決めるとき、徳永さんが岸のことをすごく積極的に誘ってて……気にはなりつつも、あたしがふたりの間に割って入って口出しできる雰囲気ではなかったんだよ」
別に、困ったように教えてくれる桃佳を責めたいわけではない。