あたしを撫でる、君の手が好き。

「ねぇ、モモちゃん。可愛い子って、あーいう男子の気を引くような失敗をわざとやってるのかな」

「どうかな」

抑揚のない低い声でボヤくと、桃佳があたしを横目に見ながら苦笑いした。

桃佳に呆れられているのがわかる。それでも、仲良さそうに並ぶあっくんと徳永さんを見つめるあたしの瞳は嫉妬の炎で燃えそうだった。


「それより、るみ、そろそろ応援合戦の衣装に着替えてきたほうがいいんじゃない?もう少しで午前のプログラム終わるよ。うちのチーム、応援合戦前半だよね?」

「あー、そうだった」

あっくんと徳永さんへの嫉妬心で頭がいっぱいになっていて、体育祭のメインイベントである応援合戦のことをすっかり忘れてしまっていた。

桃佳の言葉で、途端に気が重くなる。

本番までの練習で、振付や動きは何とか頭の中に叩き込んだけれど、やっぱりどうしてもときどきみんなからテンポがズレてしまう。

そのことで、あたしは最後の最後まで3年生の先輩に怖い目で睨まれていた。


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