あたしを撫でる、君の手が好き。
ペアになって踊る富谷くんがだいぶフォローをしてくれているけど、それでも本番で失敗しないかかなり不安だ。
「頑張っておいでよ。きっと、岸だって応援合戦のときは、るみのこと見てくれてるはずだよ」
「どうかなー」
あたしたちの応援合戦の衣装は、和風要素のある曲調に合わせて、着物を羽織ったみたいなデザインになっている。
男女ともに、衣装は素敵で可愛い。
それは見てもらいたいなと思うけど、失敗しそうなダンスはあんまり見てもらいたくない。
桃佳の隣でぐずぐずしているうちに、応援合戦に参加する同じチームの人たちが、準備のために続々と動き始めた。
「るみも行っておいで」
桃佳に背中を押されて、あたしも渋々移動する。
応援席を完全に立ち去る前に校庭を振り返ったら、そろそろ借り物競争が始まろうとしていた。