あたしを撫でる、君の手が好き。
備品を準備していたあっくんと徳永さんは、競技の邪魔にならないように出場者たちの列の傍に控えて屈んでいる。
そんなふたりの距離は、相変わらず近い。
口元に片手をあてた徳永さんが、あっくんに内緒話をするように何か耳打ちする。
嬉しそうな笑顔を浮かべる徳永さんの隣で、あっくんがちょっと笑うのが見えて。あたしの胸の中でまたもや嫉妬の炎がメラメラ燃えた。
ズルい。
あたしだって、苦手なダンスをするよりあっくんと一緒に備品を運んだり、隣に並んで競技を見たりしたかった。
だけど、そんなこと思ったってどうにもならないってことはわかってる。