あたしを撫でる、君の手が好き。




「はぁー、無事に終わってよかった」

チームの応援合戦が終了してほっと息を撫で下ろしていると、並んで一緒に歩いていた富谷くんが「お疲れさま」と笑いかけてくれた。


「シロちゃん、本番が一番うまくテンポが合ってたんじゃない?」

「ほんと?それならよかった」

応援合戦の得点は、閉会式のときに発表されるからまだわからない。

だけど、これでもう練習に参加しないでいいし、3年生の先輩に怖い目で睨まれることもない。そう思ったら、達成感よりも解放感で力が抜けた。


「富谷くんも、あたしとペアで迷惑いっぱいかけたよね。いつもフォローしてもらってありがとう」

振り向いて笑いかけると、富谷くんが鼻先をちょっと擦りながら顔を逸らした。

「いや、全然。無理やりシロちゃんのこと誘ったのは俺だし。むしろ、役得でした」

「ん?」

「いや、別に。それよりシロちゃん、衣装着替えちゃう前に一緒に写真撮ろうよ。応援席にスマホ置いてるから、取りに行こう」

「え、うん」
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