あたしを撫でる、君の手が好き。




午前の授業が終わったあと、後ろの席の富谷(とみや)くんにちょんっと背中をつつかれた。


「ねぇねぇ、白山さん。さっきの授業、ちゃんとノートとってた?」

「うん、とってたよ。写す?」

「いい?体育頑張ったのと、腹減ったのとで途中からすっかり意識失っちゃって……」

富谷くんが、頭の後ろを掻きながら笑う。


「体育のあとの授業って、疲れちゃうよね。あたしも途中で寝落ちそうになった」

富谷くんの方を振り向きながら机の中を探って、今授業が終わったばかりの英語のノートを差し出す。

それを大事そうに受け取った富谷くんは、あたしとしっかり目を合わせてからにっこりと笑った。


「そんなこと言って、白山さんはいつも真面目に授業聞いてるじゃん。放課後まで借りてていい?」

「もちろん。好きなだけどうぞ」

「ありがとう!」

富谷くんの人懐っこい笑顔につられて、あたしも彼に笑い返してしまう。

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