あたしを撫でる、君の手が好き。

「じゃぁ、また明日ね」

背を向けたまま、あっくんの手を優しく振り払う。

そのまま勢いよく走り出そうとすると、あっくんがもう一度あたしの腕をつかんで、力強く後ろに引っ張ってきた。

後ろに体勢を崩したあたしを、あっくんが背中から抱きとめる。

想像よりもずっとしっかりしている胸板や、肩に回された腕が直に触れて、心臓がドクンと鳴った。


「そんな勝手なことばっかりしていいと思ってんの?シロのくせに」

耳を掠めた低い声に肩をビクつかせると、あっくんがあたしの首の後ろを指先でスーッと下から撫であげた。


「シロってさ、俺の何だっけ?」

妙に意地割なその問いかけに、なんと答えればいいのかわからない。

あっくんにとってのあたしって何?

幼なじみ……?もしかしたら、幼なじみとすら思われてないのかも。

おばーちゃんちの犬とかそういう……


< 92 / 227 >

この作品をシェア

pagetop