あたしを撫でる、君の手が好き。
「じゃぁ、また明日ね」
背を向けたまま、あっくんの手を優しく振り払う。
そのまま勢いよく走り出そうとすると、あっくんがもう一度あたしの腕をつかんで、力強く後ろに引っ張ってきた。
後ろに体勢を崩したあたしを、あっくんが背中から抱きとめる。
想像よりもずっとしっかりしている胸板や、肩に回された腕が直に触れて、心臓がドクンと鳴った。
「そんな勝手なことばっかりしていいと思ってんの?シロのくせに」
耳を掠めた低い声に肩をビクつかせると、あっくんがあたしの首の後ろを指先でスーッと下から撫であげた。
「シロってさ、俺の何だっけ?」
妙に意地割なその問いかけに、なんと答えればいいのかわからない。
あっくんにとってのあたしって何?
幼なじみ……?もしかしたら、幼なじみとすら思われてないのかも。
おばーちゃんちの犬とかそういう……