あたしを撫でる、君の手が好き。
ゆらゆら、惑う。
体育祭が終わって2週間ほどすると、中間テストが始まった。
テスト期間は3日間。最終日の最後のテストが終わると、クラスメートたちもクラスの雰囲気も、一気に解放感でいっぱいになる。
ざわざわする教室のなか。いつものクセで、視線があっくんの姿を探す。
教室の端で、富谷くんやクラスの男子たちと喋っているあっくんの笑顔が、あたしにとってはキラキラ眩しい。
遠目にジッとあっくんを見つめていると、そばに近づいてきた桃佳が、あたしの顔を横から覗き込んできた。
「また見てるの?」
「見てないよ」
焦るあたしを揶揄うように、桃佳がニヤリと笑う。
「隠さなくてもいいのに。時間あるなら、どっか寄って帰ろうよ。お腹すいた」
「うん、どこ行こっか?」
「駅前に向かいながら考えよう」
桃佳に誘われて、カバンを持って立ち上がる。