ボーダーライン。Neo【上】
「‘見つめてる’かぁ。それ、取りようによってはストーカーっぽいなぁ~」

「もう! すぐそういう事言うっ」

 男の人は、きっと脳の構造的に、こういうロマンが理解できないのだ。

 あたしが少しむくれると、秋月くんは、アハハと顔を崩して笑った。

 


 カフェを出ると、再びショップ巡りを楽しんだ。

 秋月くんはメガネ屋でティアドロップというサングラスを買った。

 やっぱり何を身に付けてもサマになるのが、アイドル並みの秋月くんだ。カッコいいなぁ、とその姿に見惚れ、溜め息すらもれた。

 彼は自分に何が似合うのか、知り尽くしているのだろう。

 そして、アクセサリーショップに入った時。

 トップの可愛い、ひまわりのネックレスが目に付いた。繊細なチェーンと凝ったディテールに、あたしは一瞬で心を奪われたのだが。如何せん、値段が高すぎた。

 欲しい気持ちを押し込め、縁が無かったのだと諦めるしか無くて、あたしはガックリと肩を落とした。

「いくら足りないの? 足りない分ぐらいなら、俺出せると思うけど」

 そう言って秋月くんは財布を開けるのだが、あたしは首を振り、やんわりと制した。

「そこまでして、買っても……ね?」

 ーー年下の子に借金してまで買うなんて、そんな事出来ないよ。

 幾らか後ろ髪を引かれつつも、あたし達は店を後にした。
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