ボーダーライン。Neo【上】
 完成披露試写会の流れとしては、先ず司会から開会の挨拶が行われ、次に僕たちが主題歌を歌い、オープニングアクトを勤める。

 それからは上映時間がおよそ二時間半の試写だ。

 映画が終わると、途中休憩を挟み、出演者による舞台挨拶が行われる。

 今回、チラッと映るだけのカメオ出演として出たFAVORITEも、壇上へと上がった。

 そして竹ちゃんの言葉通り、丁度十九時には閉会の挨拶で場を締めくくっていた。




「Hinokiさん!」

 続けて行われる立食パーティーが始まった頃。僕は会場内を後にするのだが、外の廊下で声を掛けられた。

 振り返って見ると、さっきまで壇上で見ていた笹峰(ささみね) 優羽(ゆう)さんだった。

 彼女は今回の映画で主演を勤めた、今人気上昇中の若手女優だ。映画やドラマに引っ張りだこで、歳も僕より下だった筈だ。

 その彼女が、僕に一体何の用だろう? 忘れ物でもしたかな、と首をひねった。

 彼女の向こうでは、マネージャーらしき男性が難しい顔で腕を組んでいる。

「Hinokiさんは、パーティーへは出られないのですか?」

 やがて僕に追いついた彼女が、大きな目を瞬いて言った。
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