ボーダーライン。Neo【上】
◇ ♀
「お待たせしました」
声と共に、頼んだカプチーノの香りが鼻腔をくすぐった。目の前にティーカップが置かれ、あたしは日記帳を閉じた。
ごゆっくりどうぞ、と言葉を続け、店員さんは踵を返した。
カップの淵に口を付けると、ミルクの泡が上唇をなぞり、ペロリと舌で舐めた。コーヒーの芳醇な香りに癒される。
何気なく腕時計の針に目をやると、午後八時を幾らか過ぎていた。
あたしはテーブル席から、窓の外をぼうっと見つめた。
今から数時間前。
あたしは居酒屋の前で立ち止まったまま、着けて来たひまわりのネックレスをギュッと握り締めていた。
時計の針は午後五時二十分を差していた。約束の時間はとうに過ぎている。
数日前。バイト先を訪れた水城さんから、彼が来ると聞いて以来、あたしはどうにも気が重くなり、断るかどうかを今日まで散々と迷った。
しかしながら、本来このクラス会の目的は、内田くんと水城さんの結婚祝いの集まりだ。
個人的な感情で欠席をするのは、やはり気が咎められた。
あたしは深呼吸し、大丈夫、と自分に言い聞かせた。店内を進んだ。
五年前、檜と決別したあの日を思い出すと、向こうも気まずくて話し掛けてこれないのでは無いか。そうも思っていた。
「お待たせしました」
声と共に、頼んだカプチーノの香りが鼻腔をくすぐった。目の前にティーカップが置かれ、あたしは日記帳を閉じた。
ごゆっくりどうぞ、と言葉を続け、店員さんは踵を返した。
カップの淵に口を付けると、ミルクの泡が上唇をなぞり、ペロリと舌で舐めた。コーヒーの芳醇な香りに癒される。
何気なく腕時計の針に目をやると、午後八時を幾らか過ぎていた。
あたしはテーブル席から、窓の外をぼうっと見つめた。
今から数時間前。
あたしは居酒屋の前で立ち止まったまま、着けて来たひまわりのネックレスをギュッと握り締めていた。
時計の針は午後五時二十分を差していた。約束の時間はとうに過ぎている。
数日前。バイト先を訪れた水城さんから、彼が来ると聞いて以来、あたしはどうにも気が重くなり、断るかどうかを今日まで散々と迷った。
しかしながら、本来このクラス会の目的は、内田くんと水城さんの結婚祝いの集まりだ。
個人的な感情で欠席をするのは、やはり気が咎められた。
あたしは深呼吸し、大丈夫、と自分に言い聞かせた。店内を進んだ。
五年前、檜と決別したあの日を思い出すと、向こうも気まずくて話し掛けてこれないのでは無いか。そうも思っていた。