ボーダーライン。Neo【上】
「俺、年賀状出すから!」

「あーっ、私もー!」

 内田くんらしい助け舟に感謝し、あたしは自然と笑顔でその場を去った。

 店を出て時計に目を落とす。

 ーー七時五十分。

 帰るにはまだ早すぎる。

 今日、慎ちゃんには大学時代の友人宅で飲むと言って、家を出て来た。

 慎ちゃんもそれなら、と今日は同僚達と飲むと言っていた。

 クリスマス当日の今日。

 恋人達が肩を並べる中、何故か真っ直ぐ帰る気にはなれなかった。

 あたしは電飾された街をうろうろとさ迷い、近くのカフェに足を向けた。

 そして今、そのカフェで時間を潰すように日記を読んでいる。

 別段、誰かと会う約束をしたとか、そんな事情でここにいる訳ではないが。

 あたしはただ真っ直ぐ家に帰ってはいけないような、そんな曖昧な予感でお茶を飲んでいたのかもしれない。

 ***
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