ボーダーライン。Neo【上】
告白を受けて嬉しい気持ちも、彼を好きだと思う気持ちも、教職の立場を考えると素直に伝えるのは禁忌。
八つも年上じゃなければ。彼が教え子じゃなければ。こんな形で出会わなければ、あたしが彼と同い年だったら。どうして、どうして、どうして?
考えたところでどうにもならないのに、何か一つでも違っていたらと、思わずにはいられない。
あたしは黙ったままで俯き、きっと嫌な態度を取っていただろう。
口を開いても、今ある疑問をぶつけるしか出来なくて。何であたしなんだろう、とか。八つ年上だからとか、生徒と付き合うなんて有り得ない、とか。
全部自分本位な言葉ばかりを並べていた。
そうするうちに、秋月くんに見透かされた。保身ばかりを気にするあたしの狡さを。
「それは。表向きの理由だろ? 生徒だからって。俺はそんな理由で振られんのかよ?」
図星だった。
大人になるにつれて、計算で動く事が最善だと思うようになった。何歳ぐらいで結婚して、三十までに子供を産む、とか。人生設計まで考えていた自分が恥ずかしくなった。
あたしは何も言えなかった。
秋月くんに真剣な想いをぶつけられたのに、何も。
八つも年上じゃなければ。彼が教え子じゃなければ。こんな形で出会わなければ、あたしが彼と同い年だったら。どうして、どうして、どうして?
考えたところでどうにもならないのに、何か一つでも違っていたらと、思わずにはいられない。
あたしは黙ったままで俯き、きっと嫌な態度を取っていただろう。
口を開いても、今ある疑問をぶつけるしか出来なくて。何であたしなんだろう、とか。八つ年上だからとか、生徒と付き合うなんて有り得ない、とか。
全部自分本位な言葉ばかりを並べていた。
そうするうちに、秋月くんに見透かされた。保身ばかりを気にするあたしの狡さを。
「それは。表向きの理由だろ? 生徒だからって。俺はそんな理由で振られんのかよ?」
図星だった。
大人になるにつれて、計算で動く事が最善だと思うようになった。何歳ぐらいで結婚して、三十までに子供を産む、とか。人生設計まで考えていた自分が恥ずかしくなった。
あたしは何も言えなかった。
秋月くんに真剣な想いをぶつけられたのに、何も。