ボーダーライン。Neo【上】
/現在
◇ ♀
カプチーノを満たしていたカップは、既に空だった。
手首の腕時計へ目を落とすと、午後九時を二十分ほど過ぎている。
慎ちゃんはどうしているだろう、とふと考えた。まだ同僚達と飲んでいる途中かもしれないが、もしかしたらそろそろお開きになるかもしれない。
ーーあたしも帰らないとね。
手にした日記帳を鞄へ仕舞い、席を立った。
暖かな店内で休んでいたせいか、外は来る前より寒く感じられた。一時間前に飲んだお酒の影響で、体の芯が冷えたのだろう。
ーーしまったな。手袋、持って来れば良かった。
あたしは両手を擦り合わせた。
今日は家を出る間際になって電話が鳴り、それに応対していたせいか、うっかり手袋を忘れてしまったのだ。
仕方なく、ポケットに手を突っ込んだ。早く帰ろう、と急いで路地を進む。
ーークラス会に……檜はちゃんと来たのかな?
ぼんやりとそんな事を考え、ふと足が止まる。
自動販売機の明かりが、すぐ側にあった。そのまま通り過ぎようかとも思ったが、あったかい、と書かれたホット飲料に視点が吸い寄せられた。
温かい飲み物なら、小一時間前に飲んだところだが、カイロ代わりに缶コーヒーでも買おうかな、と思い、あたしは自販機と向かい合って立っていた。
カプチーノを満たしていたカップは、既に空だった。
手首の腕時計へ目を落とすと、午後九時を二十分ほど過ぎている。
慎ちゃんはどうしているだろう、とふと考えた。まだ同僚達と飲んでいる途中かもしれないが、もしかしたらそろそろお開きになるかもしれない。
ーーあたしも帰らないとね。
手にした日記帳を鞄へ仕舞い、席を立った。
暖かな店内で休んでいたせいか、外は来る前より寒く感じられた。一時間前に飲んだお酒の影響で、体の芯が冷えたのだろう。
ーーしまったな。手袋、持って来れば良かった。
あたしは両手を擦り合わせた。
今日は家を出る間際になって電話が鳴り、それに応対していたせいか、うっかり手袋を忘れてしまったのだ。
仕方なく、ポケットに手を突っ込んだ。早く帰ろう、と急いで路地を進む。
ーークラス会に……檜はちゃんと来たのかな?
ぼんやりとそんな事を考え、ふと足が止まる。
自動販売機の明かりが、すぐ側にあった。そのまま通り過ぎようかとも思ったが、あったかい、と書かれたホット飲料に視点が吸い寄せられた。
温かい飲み物なら、小一時間前に飲んだところだが、カイロ代わりに缶コーヒーでも買おうかな、と思い、あたしは自販機と向かい合って立っていた。