ボーダーライン。Neo【上】
鞄のポケットに手を入れた。来る時、慌ててそこに入れた切符のお釣りで払うつもりだった。
ーーやっぱり。逃げずにちゃんと会っておけば良かったかな。
さっき読んだ、日記のせいだ。頭の中は檜の事でいっぱいだった。
酷い元カノだと、彼はあたしを恨んでいるだろう。そう知りつつも、やはり会って、このモヤモヤを解消すべきだった。
会わなかった事を後悔していると、キン、と高い音がし、ハッとなる。
小銭を落としたんだ、と思い、硬貨の入り口から落ちたそれを目で追うと、更にあたしは目を見張った。
ーー指輪!!
「う、うそ! やだ、ちょっ……」
まるで生き物のように、跳ねて飛ぶと、それは自販機の下へ潜り込んでしまった。
ガーン、と分かりやすい効果音が頭の中で鳴った。
慌ててその場にしゃがみ込むが、地面に膝を付けて伏せないと、自販機の下が覗きこめないと分かり、正座する。
すぐ側に街灯はあるものの、自販機の下は真っ暗でよく分からない。鞄から携帯を取り出し、ライトを照らした。
「あった、婚約指輪」
とりあえず取らなければいけない、そう思うのだが、ここから指輪の所まで手が届くだろうか。
ーーやっぱり。逃げずにちゃんと会っておけば良かったかな。
さっき読んだ、日記のせいだ。頭の中は檜の事でいっぱいだった。
酷い元カノだと、彼はあたしを恨んでいるだろう。そう知りつつも、やはり会って、このモヤモヤを解消すべきだった。
会わなかった事を後悔していると、キン、と高い音がし、ハッとなる。
小銭を落としたんだ、と思い、硬貨の入り口から落ちたそれを目で追うと、更にあたしは目を見張った。
ーー指輪!!
「う、うそ! やだ、ちょっ……」
まるで生き物のように、跳ねて飛ぶと、それは自販機の下へ潜り込んでしまった。
ガーン、と分かりやすい効果音が頭の中で鳴った。
慌ててその場にしゃがみ込むが、地面に膝を付けて伏せないと、自販機の下が覗きこめないと分かり、正座する。
すぐ側に街灯はあるものの、自販機の下は真っ暗でよく分からない。鞄から携帯を取り出し、ライトを照らした。
「あった、婚約指輪」
とりあえず取らなければいけない、そう思うのだが、ここから指輪の所まで手が届くだろうか。