ボーダーライン。Neo【上】
「……それ、ナンパですか?」
「あ、はい。まぁ」
もう唖然とするしかなかった。
何かいけない事でも言っただろうかとキョトンとする彼を見て、溜め息すらつきたくなった。
今時の若い男の子にしては何て親切で礼儀正しいのだろうと、拍手を送りたい気持ちまで芽生えていたのに、とどのつまりは異性への下心が理由だった。
あたしは目を細め、尚も直視してくる彼を見据えた。
それなりの正義感と真面目さを持ち得るせいか、あたしは元来ナンパという行為を嫌っていた。
「送って頂けたのは有り難いんですけど。あたし、ナンパする男の人って苦手なんですよね」
「……はぁ」
「だから教える事は出来ません」
世話になっておいてその物言いはなんだ、ともう一人のあたしが責め立てる。
けれど、自分の意思だけはしっかり伝えておこうと思った。
彼は目を瞬き、一拍、言葉を失っている。
「あ、えっと」と次に発する言葉を思案しているので、あたしは呆れた目で「まだ、何か?」と問い掛けた。
「あ、じゃあこういうのどうっスか?」
「はい?」
「もしもまた。ばったり会う事があったら、番号と名前! 教えて下さい」
「あ、はい。まぁ」
もう唖然とするしかなかった。
何かいけない事でも言っただろうかとキョトンとする彼を見て、溜め息すらつきたくなった。
今時の若い男の子にしては何て親切で礼儀正しいのだろうと、拍手を送りたい気持ちまで芽生えていたのに、とどのつまりは異性への下心が理由だった。
あたしは目を細め、尚も直視してくる彼を見据えた。
それなりの正義感と真面目さを持ち得るせいか、あたしは元来ナンパという行為を嫌っていた。
「送って頂けたのは有り難いんですけど。あたし、ナンパする男の人って苦手なんですよね」
「……はぁ」
「だから教える事は出来ません」
世話になっておいてその物言いはなんだ、ともう一人のあたしが責め立てる。
けれど、自分の意思だけはしっかり伝えておこうと思った。
彼は目を瞬き、一拍、言葉を失っている。
「あ、えっと」と次に発する言葉を思案しているので、あたしは呆れた目で「まだ、何か?」と問い掛けた。
「あ、じゃあこういうのどうっスか?」
「はい?」
「もしもまた。ばったり会う事があったら、番号と名前! 教えて下さい」