ボーダーライン。Neo【上】
「……すき」
「え」
「秋月くんが好きっ!」
彼を離したくない、その一心であたしは彼を抱きしめていた。
やがて彼も抱き返してくれた。
あたしは好きな人の腕の中で、安堵の息をもらした。
もっと早くにこうすべきだった。ロンドンでキスをされたあの夜。つまらない体裁や、自分本位な考え方を捨てて、素直な気持ちを伝えていれば良かった。
高校生のあたしなら、きっと何も考えずに好きな人を受け入れていただろう。そう考えると、大人になるというのはしがらみを増やす事だな、と冷静な頭で思った。
どのぐらいそうしていただろう。
沈黙を守ったまま、二人してぎゅっと抱き締め合っていた。
壁に取り付けられた室外機の音や激しく打つ心臓の音。
そして秋月くんの息づかいまでもが耳に届いた。
程なくして、秋月くんはあたしの肩へ触れ、体を離した。
赤い顔で、真剣な目をしていた。
見つめ合うと、また涙が頬を伝った。
彼のしなやかな指先が頬に触れ、それを拭ってくれる。
秋月くんは躊躇いがちに、顔を傾け、距離を詰めた。
ーーキスが。欲しい……
あたしはそっと目を閉じた。すると、また一粒、涙が零れる。
「え」
「秋月くんが好きっ!」
彼を離したくない、その一心であたしは彼を抱きしめていた。
やがて彼も抱き返してくれた。
あたしは好きな人の腕の中で、安堵の息をもらした。
もっと早くにこうすべきだった。ロンドンでキスをされたあの夜。つまらない体裁や、自分本位な考え方を捨てて、素直な気持ちを伝えていれば良かった。
高校生のあたしなら、きっと何も考えずに好きな人を受け入れていただろう。そう考えると、大人になるというのはしがらみを増やす事だな、と冷静な頭で思った。
どのぐらいそうしていただろう。
沈黙を守ったまま、二人してぎゅっと抱き締め合っていた。
壁に取り付けられた室外機の音や激しく打つ心臓の音。
そして秋月くんの息づかいまでもが耳に届いた。
程なくして、秋月くんはあたしの肩へ触れ、体を離した。
赤い顔で、真剣な目をしていた。
見つめ合うと、また涙が頬を伝った。
彼のしなやかな指先が頬に触れ、それを拭ってくれる。
秋月くんは躊躇いがちに、顔を傾け、距離を詰めた。
ーーキスが。欲しい……
あたしはそっと目を閉じた。すると、また一粒、涙が零れる。