ボーダーライン。Neo【上】
後から知った事だが、慎ちゃんの家庭は複雑で、お父さんと二人暮らしで大きくなったらしい。
お母さんは亡くなられたのか、と思ったらそうでは無く、慎ちゃんが十三歳の頃に別の恋人を作って突然居なくなったそうだ。
そういった事情で未だに消化しきれず、慎ちゃんの価値観で言うと、浮気は絶対悪となっている。
勿論、あたしも同意見だ。
学生の頃の恋も、社会人になってからの恋も、浮気や二股といった悪に悩まされてきた。
とどのつまりは同じなのだ。慎ちゃんとあたし、恋愛に対する価値観は一致している。
「あ~、腹へった。今日の晩飯なに?」
「うん? ビーフシチューとチーズきのこオムレツ。あとカボチャのサラダ」
慎ちゃんから受け取ったスーツの上着をハンガーに掛けながら答える。彼は頬を緩め、どれも俺の好物だ、と喉を鳴らした。
「今日ね。あたしも仕事上がるの早くて。帰ってすぐ作ったから、ご飯冷えちゃったの。今温め直すね?」
「うん。あ、サチは明日も弁当屋?」
キッチンへ向かい、鍋に再び火を入れると、「そうよー? 」と間延びした返事を返す。
明日も朝から仕込み、と肩をすくめ、器を用意した。
お母さんは亡くなられたのか、と思ったらそうでは無く、慎ちゃんが十三歳の頃に別の恋人を作って突然居なくなったそうだ。
そういった事情で未だに消化しきれず、慎ちゃんの価値観で言うと、浮気は絶対悪となっている。
勿論、あたしも同意見だ。
学生の頃の恋も、社会人になってからの恋も、浮気や二股といった悪に悩まされてきた。
とどのつまりは同じなのだ。慎ちゃんとあたし、恋愛に対する価値観は一致している。
「あ~、腹へった。今日の晩飯なに?」
「うん? ビーフシチューとチーズきのこオムレツ。あとカボチャのサラダ」
慎ちゃんから受け取ったスーツの上着をハンガーに掛けながら答える。彼は頬を緩め、どれも俺の好物だ、と喉を鳴らした。
「今日ね。あたしも仕事上がるの早くて。帰ってすぐ作ったから、ご飯冷えちゃったの。今温め直すね?」
「うん。あ、サチは明日も弁当屋?」
キッチンへ向かい、鍋に再び火を入れると、「そうよー? 」と間延びした返事を返す。
明日も朝から仕込み、と肩をすくめ、器を用意した。